真面目な顔になって言いにくそうに口を開いた。
「実は………海外のモデル事務所から専属になってほしいって頼まれた…」
「か、海外ってどこのだよ?」
「アメリカの……ほら、凛も知ってるだろ?ここの雑誌からスカウトきたんだ」
理音が鞄から出した雑誌は、俺らモデルが一度は憧れる有名雑誌。
この雑誌の専属を通れば、間違いなくスーパーモデルでセレブ一直線。
ただ、難関過ぎるこの道は諦めるモデルがほとんどだ。
そんなとこからスカウトなんて………
「理音すっげーな……。向こうから、わざわざ来たんだろ?」
「まぁ……ちょうど3日前に事務所にスカウトマン来た。英語分かんねぇから社長とだけ話してたけど」
「とうとう理音はアメリカから引き抜きかぁ~……。おめでと」
「ん……ありがとなっ」
理音とは中学の時に、お互い駆け出しモデルとして会って………
それから、ずっと二人でいた。
でも俳優デビューしたのも俺が先で、雑誌の表紙飾ったのも、ファンの数も俺が全部勝ってた。
だから……正直、素直に喜べない。
悔しい。
今はそんな思いが強い。

