考え事したまま、家に帰ると玄関には揃えられた凛の靴。
珍しくあたしよりも帰り早い?
リビングのドアを開けると、テーブルに向かって何か書いている背中。
「りーん。ただいま」
「おっ!桜彩、おかえり~!見て!この課題量!」
「相変わらず減らない課題量だねぇ~……」
「やってもやっても減らねぇ…」
プリントの山は凛が昨日持って来た卒業課題。
恐ろしいくらいの量だけど、これを全てこなさないと卒業出来ない。
俳優業があるのに大変だね……。
「あたしも手伝う?暇だし……」
「いいの!?桜彩に手伝ってもらえるなら早く終わるな!」
「あ、ちょっと言い方違ったね。教えてあげる!」
「それでも桜彩が側にいてくれるからいいもーん」
楽しそうに笑って抱きつく。
あたしも凛の側にいたら考え事なんて、どこかへ消えて安心する。
この卒業課題の量を見たら現実に引き戻されるけど………。

