昔から、空は遠くて追い付きたくても絶対に届かない存在。
いつか俺が空を追い越せる日がくるんだろうか?
「あ、そうだ凛。先週のドラマ観たけど、なかなかよかった」
「マジ!?台詞長くて苦労したんだよ、あれ」
「母さんすげー褒めてたぞ。……ただ、もう体壊すなよ」
「分かってる。ありがと」
俺の頭を2回軽く叩いて病室を出た。
空が行ったら夕方までかなり暇。
だってもう寝るしかないし………
桜彩が来るまで寝てよ………。
眠りに落ちてた時に聞こえるのは、キレイで高い柔らかい声。
凛………って優しく俺の名前を呼ぶ。
その声の持ち主は目を開けなくてもすぐに分かった。
「桜彩……」
「寝ちゃってたね……。来るの遅くなってごめんね?」
「ううん……あー……寝過ぎてダルイ…」
「たまにはいいじゃん。あのね、今日はあたし以外にもお見舞い来てくれたよ」
そう言って桜彩は病室から出る。
連れて来たのは、杏花梨ちゃんと晴さん。
なんか思ってなかった意外なメンバー。
まさか来てくれるとは思ってなかった。

