少し焦ってる様子の桜彩の手をぎゅっと握ってやっと出た言葉。
「お疲れ様。かわいかったよ、姫役」
「ありがとう……嬉しい」
「このあとさ…」
「あっ!ごめん!用事があるから待ってて!」
俺の手をスルッと離して走って行ってしまった。
桜彩が追い掛ける先には、相手役だったあの王子の姿。
そっか………やっぱもう新しい彼氏くらい作ってるか。
長々と過去のこと未練タラタラにしてんの俺だけじゃん。
カッコ悪………。
「あれ?凛、桜彩ちゃんとの話は終わったの?」
「終わったってゆうか、聞いてくれなかったって感じ?王子んとこ行っちゃった」
「え!?アイツ桜彩ちゃんの彼氏なの!?」
慌ててる理音の頭を後ろからバシッと小春は叩いた。
「勝手に話を広めないで。あの人……笹本くんは桜彩の彼氏じゃない。クラスメート」
クラスメートかー………。
小春を疑ってるわけじゃないけど、あんまり信用出来ないな……。

