眠っている桜彩のところに前半と違う王子がそっと来た。
悔しいけど、そこそこいい顔立ちしてんじゃん!
ほんとにキスはしてないと思う。
たまにドラマとかでも使われる角度で調整してるんだろうけど、イライラする。
もう俺の彼女じゃないのに……。
「もうこれで分かったでしょ?絶対に諦められないのよ、桜彩のこと」
「これ終わったら桜彩ちゃんとこ行ってあげな?」
「……分かった。もしダメだとしても言いたいこと言ってくる」
「桜彩はステージ裏から出て来るから。待ってれば来るはずよ」
小春の言う通り、白雪姫が終わったあとに走ってステージ裏に行く。
そこで待ってると、ティアラを付けた桜彩がキョロキョロしてこっちに来た。
こんな間近で見るの久しぶりだ……。
「桜彩…!」
「ん?……あっ……凛?な、なんでいるの?」
「小春と杏花梨ちゃんに呼ばれてさ……」
「そうだったんだ……」
なんで、こんなによそよそしいんだ……。
まだ言いたいことあるのに続けられない。
そんな自分にまた腹が立つ。

