お騒がせboyがウチに転がり込んで来た




「ねぇ、杏花梨……非常に歩きにくいっ!」

「我慢しなさいよ~!ひらひらしてかわいいのにっ♪」

「かわいくないってば!」


いよいよ来てしまった文化祭当日。


あたしは制服の上から着たピンクのひらひらしたドレスを鬱陶しく歩く。


魔女役の杏花梨も同じく制服の上から真っ黒のマントをなびかせて楽しんでる感じ。


クラス費のコスト削減で基本的に制服ベースにした手抜き衣装らしいです……。



憂鬱だなぁ………。


台詞暗記出来てるか不安だし……。


髪に付けた慣れないティアラが少し邪魔……。


「そんな窮屈そうにいじってたら髪、ぐちゃぐちゃになるぞ」

「あ……笹本」

「今日の髪……いい感じじゃん?」

「ありがと……。あ、杏花梨にやってもらったんだよ?」

「だろうな!椿にはそんな器用なのは無理だろ」


一瞬嬉しく感じたあたしがバカでした。


杏花梨に巻いてもらった髪をいじけた様にして触る。


でも……いい感じって言ってもらえたのはけっこう嬉しくて。


真っ暗のステージ裏で二人きり。


嫌とゆうほど緊張する。


「台詞……覚えたか?」

「なんとか。物覚え悪いけど頑張ったよ?」

「あっそ」


う``っ!


今鼻で笑ったー!