一通り撮影したあと、晴さんと二人で話すタイミングあった。


理音はまだ撮影中。


「あんなに仲良かったのにな。キスのことでケンカした感じ?」

「そんな感じです。でもね、晴さん。俺、ほんとに華那さんと何もないですよ」

「んなの分かってる。凛は一途だし」


ほんとに華那さんとは何もない。


あの一件があってから連絡の一本も取ってない。


ただ俺は桜彩に信じてほしかった。



「ま……でも、今は別れて正解だと思うよ。お互い信用出来てないのはダメだ」

「俺は桜彩のこと信用してます!」

「桜彩ちゃんが凛のこと信用出来てなきゃダメじゃんか」

「……そうですよね」

「その感情が仕事に出ない様に尽くしてこそ俳優だ。……頑張れよ」


そう一言残して雑に俺の頭をポンポン叩いた。


あぁー……ほんとに情けねぇ。


誰かに甘えそうになると、自分の弱さが滲み出て泣きそうだ。


最悪だ……。