ソファーから立ち上がって玄関に向かって行ってしまう。
あ………ほんとに別れたんだ。
自然とあたしの体は凛の後ろを着いて行く。
「見送られたら切なくなるんだけど!下まで来るなよ?」
「いっ、行かないよ!玄関まで……だから」
「うわ~ショック!」
靴を履いて玄関から出て行くと思ったその時。
凛は振り返ってあたしの手首をグイッと引っ張った。
その反動であたしは凛の腕の中に吸い込まれて行く。
きっとこれが最後になるかもしれない……。
凛にぎゅっと抱きしめられる。
「あー……ヤバイ。ほんっとに手離したくねぇわ……」
「ダメだよ……。別れたんだから離して?」
「ごめん、あと少し」
「うん……」
あたしも凛の背中に手を回した。
これからは別の誰かが凛の腕の中で大切にされるんだね?
悔しいな……。
「よし!ありがと。これで1週間は仕事頑張れるわ!……じゃあな」
「バイバイ……」
笑顔で出てった凛の後ろ姿を見てあたしは……
その場に座り込んで泣いていた。
ただただひたすら後悔の涙を流しながら。

