夏の蒸し暑い空気の中に、時折吹く冷たい風。
そんな風ですら鬱陶しく感じるあたしは、ほんとにどうかしてる。
凛が側にいてくれないとあたしは………。
「ほーら。元気出してよねぇ。あたし単位危ないのに付き合ってるんだから!」
「杏花梨……ありがと」
「今日だけねっ」
屋上のフェンスに寄り掛かり二人で並んで座る。
杏花梨がくれた冷たいココアがあたしの心を落ち着かせる。
自分で撒いた種にヘコんでるってバカ。
「許してあげなよ。だって凛くんもわざとじゃないでしょ?」
「わざとじゃないと思うけど……キスとかヤダ。有り得ない」
「……じゃあさ。凛くんのキスシーンは?しかもけっこう濃厚なの!許せる?」
「それは……仕事だから許せるけど……」
許さなきゃないけどすごいモヤモヤする……。
あたしにだって、あんまりしないようなキスを他の人にしてるってビミョー。
キスしてほしいってわけじゃない。
なんだろ……この複雑感。

