仕事帰りの夜、理音が下調べ済みの花屋に二人で来た。
男子高校生二人で花屋に来てるシチュエーションがもう何て言っていいか………。
目立たない隅っこにあるその花屋は、薄い黄色の灯りが印象的。
見たことない花がびっしりと飾ってある。
「小春にどんなのがいいかな~?」
「まず桜彩はどんな花が好きなんだ?」
悩む俺の側に、20代くらいの若い女の人が立つ。
店員か……。
「何かお探しで?プレゼントですか?」
「あ、はい。まぁ……。彼女の誕生日なんですけど、よく分かんなくて」
「薔薇の花言葉を知ってますか?」
「愛情とか?」
「少し違います」
ピシャッと俺の答えを遮る。
不思議なオーラを出した店員は、薔薇の花を1本真っ白な指で取る。
「そうですね……貴方は彼女さんに花を通し何を伝えたいのです?」
「えっ……ん~……。忙しい俺の側にいて支えてくれる感謝。と、好きってこと」
言ってる自分が照れるわ………。
店員は顔色一つ変えずに、薔薇の花を次々に取り束にする。

