そんな俳優達の休息も束の間………


「凛くん、理音くん!撮影入りまーす!」


セットの入れ替え時間がもっと長くなればいいのに。


俺らが立ち上がるとプロデューサーも立ち上がって、物言いたげな顔。


「どうしたんですか?」

「いや……撮影が遅れててね。凛くんと理音くんに近くのホテル予約しといたから」


申し訳なさそうに立ち去るプロデューサーの後ろ姿を飛び蹴りしたくなった……。


「理音。ケーキ屋はまた今度な」

「ははっ……泊まり掛けで仕事ってか…。マネージャーからそんなこと聞いてねぇよ」

「文句はあとで。撮影行くぞ」

「凛はすごいね~。お前が仕事サボったり手ぇ抜く姿見たことねぇもん」



一度決めたことは最後までやり通す。


俺は人気俳優だからこそ責任重大。


俳優としての演技だろうと、モデルとしての撮影だろうとサボれるわけねぇじゃん。


俺が社長に拾われた時にそう決めたんだから。


週刊誌の常連だろうと仕事は人一倍こなしてやるし。