こんな田舎だから基本的に鍵は閉めてない。
カラカラ─────………
懐かしい音を立てて横に開けば、長く続く廊下。
よく空と二人で競争してて怒られたっけ。
「ただいま~!凛だよ!」
「凛~!おかえり~!!」
半年振りに会う母さんが小走りで出て来る。
苦しいほど抱きつかれてる俺を桜彩は、大きな瞳をパチパチしてガン見。
助けろ桜彩!!
「あ、あのー……」
「あら!あなたが凛の彼女?モデルさんみたいにかわいい~♪モデル?女優?」
「あ、えっと、一般人です。凛くんとお付き合いしてます椿桜彩です」
俺の大好きな笑顔でふわっと笑えば寒さも吹っ飛ぶ。
あぁ~………かわいい!!
「桜彩ちゃん!名前もかわいい~♪あれ?でも……椿って…」
「そっ。俺の事務所の社長の娘」
「アンタ……どこの娘に手ぇ出してんの!?社長が知ったらどれだけ悲しむか……」
「母も公認しているので大丈夫です!」
「それならよかったぁ~………。さ、上がって?」
礼儀正しくて笑顔の桜彩だけど、繋いでる指先は微かに震えてる。

