陽太くんは、いつも細めている目を私のお願いに驚いたのか一瞬だけどパッと開き、すぐにニコッと笑った。


「どこがわからないの?」



「ここの、ページの…。」


わからないところを告げると、ゆっくり優しく丁寧に説明をしてくれる。



大きな手だなあ。
爪キレイだし。

声も落ち着いていて、すごく聞きやすい。



「…ってなるんだけど、わかった?」


「え!う、うん…。たぶん?」


数学じゃなくて、陽太くんのことがまた少しわかった、なんて言えない。


「ははっ、なんで疑問系なの。
いいよ、もう一度説明するから、頑張ろう。
ちゃんと理解したら数学、面白いんだよ。」


優しい、優しすぎる。

なんで今まで興味を持たなかったんだろう。


こんなに近くにいたのに。