高校3年生の冬。


5人は決断に迫られていた。



何があってもずっと一緒にいた5人は

別れを覚悟していた。







〜回想編・冬〜








肌を刺すような寒さが身にしみる冬。



進路を決めなくてはならない高校3年生の5人は、まだ進路が決まらず悩んでいた。


将来自分がどんな職業に就きたいのかがわからなかった。



でも進路を決められない1番の理由は、5人一緒の大学に行きたかったからだった。



誰かが進路を口にすれば、自然に同じ進路を選ぶはずの5人。


しかし誰一人として考えを口にしようとはしなかった。




高校までは何事もなく同じ道を選んでこれたが、高校を卒業した後の進路は将来に関わる重要な選択である。


それぞれ目指すものも違えば、頭の良さも違う。




ワガママを言って進路を強制する事など出来ない。

だから悩んでいたのだった。




「イノリ、進路決めた?」

「いや。大学に進学するって事は決めたけど、どこの大学に行くかはまだ決めてない」

「そっか。私もだよ」




イノリとキヨは、イノリの部屋で勉強をしながら話していた。