ようこそゲストさん
「わー!見て奏!ツリーだよ!綺麗だねっ」
俺達の倍はあるLEDや飾りを付けられた大きなツリーを見て遥希ちゃんが無邪気に笑う。
その横顔を見て「君の方が綺麗だよ」なんてクサイ台詞がふっと浮かぶ。
だけど遥希ちゃんには何と無く言えなかった。
いつもならスラスラと言えるはずの口説き文句だって出てこない。
(何俺、話す話題が無いとか...中学生かよ)
少し違う自分に若干戸惑う。女の子相手にこんなことになったのは初めてだ。
「あ!願い事書けるんだって。奏何書く?」
気付けば遥希ちゃんはツリーの下で置いてあったペンを持っていた。
紙に書いてある事をちらと見れば【これからも奏達とずっと一緒にいられますように】とある。
(奏"達"っていうのが気に入らないけど...)
期待の目を送ってくる遥希ちゃんの耳元に近づく。そして、そっと呟いた。
「遥希ちゃんとずっと一緒にいられますように」