「だ…だれ…?」



あたしは恐る恐る後ろを振り返った。









「桃依…かぁ…なんだぁ…びっくりして損したよ…。」

「ん…だよ…朝からうるせぇな…。」

「蒼刃っ!!」


額が優しく触れた。
本当にそれくらいの距離にいる。
蒼刃は…あたしを一晩中抱きしめていてくれたみたい。


「…ちゃんとお前だよな?」

「え…?」

「星来…だよな?」

「…あ…あたしだよ。」


顔が近すぎて、心臓がドキドキとうるさい。
顔も熱があるみたいに熱くなってきた。


「…良かった。」

「え?」

「お前の記憶が戻ったのが夢だったら…辛ぇし。」

「夢じゃないよ。あたしはちゃんと、蒼刃の一番近くにいるよ?」



そんな切なそうな顔をしてほしくなくて、安心してもらいたくて、あたしは言葉を続けた。