「いや、あの…。」


美穂がそう呟いた時。

カツン、と、美穂の背中が壁に当たった音がした。



…行き止まり。


もう、美穂の逃げ道はなくなった。



『…今なら、“遠慮します”っていう美穂の言葉、取り消してやってもいいけど。』



そう言って、ニヤリと微笑む俺。


美穂は怯えたような曖昧な表情で、瞳は涙で潤んでる。



…そんななか、ふと感じた。


美穂が泣きそうな姿を見て、イキイキしている俺。



…そんな俺は、Sなのかもしれない。