高3になっても、こういうところだけは子どもっぽい。

もう…………仕方ないなぁ。


ひとまず、零ちゃん達とお別れをして正門から出る。

これからは別行動になるので、柚莉達ともバイバイをした。


繭ちゃんの手を引き、陸と一緒に学園から離れる。


閑静な住宅街を歩き、近くの公園に入った。

夕方だけど、誰もいない。

ここなら大丈夫か。


「ごめんね、ちょっと1人で遊んでてくれる? お兄ちゃんに用があるんだ」


繭ちゃんに一言断って、遊具の方へ行かせる。

遊び始めたので、周りを見て、誰もいないことを改めて確認した。

ぐいぐいと陸の手を引っ張って、大きな木の陰に連れてくる。


「どうしたんだよ」

まだ、拗ねてる感じ。機嫌を直してもらうにはこれが1番だと思う。


「ちょっと屈んで?」

「は?」

不思議そうな表情になったけど、屈んでくれた瞬間。


「20分だけだよ? 繭ちゃんいるんだから」


小さく囁いて、陸の首に腕をまわし、唇を重ねた。

ちゅっと軽く重ねるだけで、すぐに離れる。


「時間守れるなら、陸の好きにしていいよ」

「マジ?」

パッとあからさまに明るくなる表情。

「ホント。……30分だけだからね」

プラス10分してあげることだけを告げて、またキスをした。






ーーーーー30分後。

「杏ちゃん最高♪」

陸の機嫌が、キレイに直ったのは、言うまでもない。