「どれほど崇高(すうこう)な意志であろうと、人がそれを保ち続ける事は難しい。同じ人間でないのなら(なお)のことだ」

 お前が死んだあと、その意志が確実に変わらずにあり続けると思うのか。

「説得を続ければ私が賛同すると信じているようだが──」

 ──その逆をどうして考えない。

「逆、だと?」

 ハロルドは顔をしかめ、背後にいる青年たちに目を向けた。

「人の忍耐を過大評価しないことだ。続けられるのはせいぜい、三ヶ月。あとは倦怠感(けんたいかん)にさいなまれる」

「何が言いたい」

「そうなれば、他者の意見が生新に映ることだろう」

 私が彼らを懐柔(かいじゅう)することも可能だ。

「あり得ない!」

 強く反論したハロルドに、トラッドは苦い表情を浮かべた。