「驚いたよ。まさか、人工生命体が成功していて、それが君だったとはな」

 あのような強引な手法でよくも成功したとベルハースに感心した。

 にも関わらず、君は人として何も劣ってはいない。それどころか、わたしたち人間より優れた部分が多く見受けられる。

「君の成功で、どれだけの犠牲があったのかは、君についているナンバーから解るだろう」

 もちろん、それまでの全てが命を宿せた訳ではないだろう。ただの細胞の小さな(かたまり)でしかないものもあったはずだ。

「唯一、成功した君は政府にとって、あまりあるほどの大才(たいさい)だった」

 その結果が、あの巨大な施設を作り上げることとなった。

「君に教育を施す専門家にわたしも選ばれた事は、まさに幸運だ」

 研究チームのリーダー、ベルハースの友人というだけで選ばれた訳ではないことは充分に理解している。

「どうやら、クローンも造られていたようだね」

 ベリルの感情を探るように口に出すと、ハロルドの思惑通りベリルは顔を若干、歪めた。それに目を細める。