地下には居住空間だけでなく、数種の機器がずらりと並べられた部屋もあり、何に使うのか解らない巨大な水槽を中央に設置した部屋もあった。

 そこに、左足を引きずった白髪の老人が何かを待っているのか、随分と落ち着きなく樫の木で作られた杖をしきりに動かしている。

 デスクに置いていた端末が振動すると、老人はすかさず手に取った。

「──そうか! よくやったトラッド。丁寧に運ぶんだぞ」

 望んだ言葉が聞けたのか、彼は喜びにうわずった声で応えてすぐに通話を切る。