「優羽!優羽――…」 遠くから莱が俺の名前を呼ぶ声が聞こえる。 クラクションと人の悲鳴がうるさい。 ボーっとする頭。 力が入らない、呼吸が苦しい。 体中が痛い。 頬にポタポタと落ちてくる雫。 暖かい雫は莱の涙。 やめろ、泣くなよ。 俺せっかく莱を守ったのに、なんか悪いことしたみてぇじゃねぇか。 お願い、泣くな。 今抱きしめることが出来ねぇから。 後で俺が元気になったら、いっぱいいっぱい抱きしめてやるからさ――…。