「うん、サイダーありがとう」


「おう」



私から振ったのに、未だ変わらない態度。


そんなの、無駄に懐かしくなるじゃない。



一体私を見て何を思ったのかは謎だけれど、加えてアドバイスも意味不明なんだけれど。



彼がサイダーを持ってきてくれるときは、いつも元気づけてくれるときだった。



「ありがとう」



もう一度、もう見えなくなった背中に向かって呟いて。


すっかり水滴を纏わせたペットボトルの蓋を開けて、私はサイダーをひとくち含んだ。



舌の上で甘くはじけるそれは。



ぐちゃぐちゃした心にしゅわっと音をたてて、着地した。