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翌日の学校で、琴葉が怪訝そうな顔をあたしに向けてきた。


「里奈。ずっとニヤけてるけどどうしたの?」


教科書やノートを机に片付けていたあたしはその声に顔を上げ、両手で自分の頬を包み込んだ。


「え、にやけてる?」


「自覚ないの?」


聞かれてあたしはヘヘッと声を出して笑った。


「本当になに? なんか気味が悪いんだけど」


仲が良いだけあって、琴葉はズケズケとものを言う。


あたしは軽く咳払いをして真剣な表情で琴葉を見た。


「琴葉、ありがとう」


そうして頭を下げるあたしに、琴葉はますます怪訝そうな顔つきをした。


「なんのこと?」


「教えてくれたでしょ。ドライブスルー彼氏のこと」


そう言うと、琴葉の表情は一瞬にして明るくなった。


「もしかして行ったの!?」


「シッ! 声が大きいよ」


慌てて顔を寄せ合うあたしたち。