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きっとアユカはこれから盗撮魔にお金を渡しに行くのだろう。


あたしは一旦アユカにまかれたフリをして、こっそりと尾行を続けることにした。


アユカは敏感に周囲を何度も確認し、あたしがついてきていないかチェックしている。


その度にあたしは電柱の陰や建物の陰にかくれてやり過ごした。


やがてアユカが入っていった場所を、あたしは唖然として見上げていた。


「なんで……学校?」


そう、アユカがこそこそと逃げるようにやってきたのはあたしたちが通う学校だったのだ。


また、嫌な予感が胸に渦巻きはじめるのを感じる。


アユカはお金を握り締めて学校へやってきた。


この行動の意味するものはなんだろうか?


嫌な妄想をしてしまいそうになり、あたしは左右に頭を振ってかき消した。


まだなにも決まったワケじゃない。


もしかしたらアユカは先生に助けを求めに来たのかもしれない。


淡い期待を抱きながら校門をくぐり抜け、アユカが消えて行った校舎裏へと向かう。