ふって柔らかく笑われる。


裾をつかんでいた手は、いつのまにか李々斗の手に包み込まれていた。もう片方の手で、やさしく頭を撫でられる。


大丈夫、ここにいるよって言われているみたいで、ふらふらだった心が落ち着いてきた。




「……楓莉、ねる?」



瞼が重くなってきた。
李々斗の声が少しだけ遠く聞こえる。


身体はずっと火照っているけれど、李々斗がそばにいるだけでずっとずっと安心感があるせいか、睡魔がやってきたみたいだ。


呼吸も、起きたばかりの数十分前よりは安定している。



「…おやすみ、楓莉」

「ん…」



人肌ってこんなに安心材料になるのか……と、夢の中に誘われていく途中でぼんやりと思った。















(…………キスしたい、けど、さすがに寝込みはダメだよなぁ…)



わたしの寝顔を見ながら李々斗がしばらく葛藤していたことなど、知る由もなかった。