同じ男だからわかる、あれは……途轍もない嫉妬を含んだ表情。

悍ましいほどの独占欲が見えて、思わずゾッとした。



先ほどまで彼女に近づきたいなどと思っていた考えは跡形もなく消えて、ハッ…と掠れた笑みが零れる。



とんでもない。



『花の妖精』に近いた日にはーーもう明日が無いんじゃないかと思うほどだった。




王子…怖すぎだろ…。




嫉妬に塗れた王子の顔を思い出し、俺は身体の震えを抑えるように自分の手を握りしめた。

どうやらあの噂は、ホンモノだったらしい。



遠目に見るだけに留まって、彼女には近づかないでおこう、と、

きっとここにいる誰もがそう誓った。




【side 男子生徒A】-END-