「どうかされたのですか?」

「実は明日、兄の友人の屋敷で舞踏会があるんです。少しでも多くの方に来ていただきたいらしく、わたくしもお声掛けに協力している状態でして。良かったらイリア様も来ていただけませんか?」

「私が……ですか?」

「開かれる舞踏会は、誰でも参加可能という畏まったものでもありませんので。ただ、嫁ぎ先を探しているのでしたら、舞踏会は恋を見つけるまたとない機会ですので、イリア様にも……と思って」

手渡された手紙の封を開ければ、日時と場所の詳細が記されており、一番下には今言われた通りどなたでも参加可能と書かれてあった。

舞踏会に出れるようにダンスの特訓は積み重ねてきており、参加出来ないわけでもない。

それにハンナも言う通り、これはまたとない機会だ。

イリアは一通り手紙に目を通して、今度こそ未来の嫁ぎ先を見つけるべく行く事を決心した。

「予定が空いていれば私も是非参加させてもらいます」

「良かった!会場内では、一緒に居ることはできないとは思うのですけれど、もし会えたらまたお話させて下さいね!」

「もちろんです」

知らない場所に一人踏み込むのは中々に勇気がいるが、顔見知りの相手がいるのならばまた話は変わってくる。

明日はもしかしたらライバルになるかもしれないハンナに今日のお礼を述べて、イリアはソルジャー家の花園を後にしたのだった。