ふと、ぴんぽーん、とあのチャイムが鳴り響く。


やれやれ、もう来たのか。


早く行かないといつ扉を蹴り破られるかわかったものではない。

ため息をつくと、僕は彼女を出迎える為に階下へと向かう。

きっと今日もあの挨拶で始まるんだろうな、なんてそんなことを考えて苦笑しながら。

それでも心のどこかで、あの笑顔を待ちわびている自分が、いる。

今日はどんな話を持ってきたのだろうか、なんて。


……気のせい、気のせい。


……気のせい、なのかな。


「ちょっとー! いるのはわかってんだからねー?」


はっとなって僕は玄関へと向かう。


心持ち無愛想な表情を作りつつ。


それでも、零れる笑みを抑えきれず。


僕は扉に手をかける。