嗚呼、まただ。

















ボクがちゃんと意識を取り戻したのは



翌日の朝のことだった。



周りを見渡すと完全な自然。



つまりは山の中である。



しかも、血だらけの着物を着て。



横には血塗れの刀が一つ。



あぁ、これは



バレてしまったのだろうか。



沖田さんに、土方さんに、みんなに。



もう一人のボクに会ってしまったのか。



確認したいけどできないよな。



この格好じゃ。



どうしようかなぁ…。



バレたなら、仕方ない。



側にあった刀を



自分の方に向ける。



心臓をひとつきすれば、



痛みなく死ねるよね。



やっぱりボクは



























幸せを願っちゃいけない人間なんだ。




























「何してるんだっ…!!」



ボクの刃はいつの間にか違う方に



飛んでいた。



「何故止めるんですか?」



目の前にいたのは新撰組三番隊隊長の



斎藤一さんだった。



「副長や局長、沖田も呼んでいるぞ」



「…そこにいく資格はボクにない。」



そう言って立ち上がろうとした。



けどそれは叶うことなく、



ボクは倒れていた。



「強制的にでも、連れて行く」



…ボクを連れて行ってなんになるんだ。



そう思ったけど口にしなかった。



面倒事はごめんだ。



とは言いつつもうすでに面倒だが。



「そこまでしたい理由はなんですか」



「…お前は新撰組に必要な奴だ」



小さな、とても小さな声で斎藤さんは言った。



ボクが必要、か。



未来じゃボクはただの殺人鬼なのにね。



「ちゃんと着いて行く、から、
 腕、離してください。」



そう言うと、斎藤さんは渋々腕を離した。



あー、身体がだるい。



何聞かれるのかなぁ。



そんな事を考えながら



ボクは斎藤さんに着いて行った。