「先輩、中等部ウチじゃなかったですよね? 恋先輩は小学校から一緒だったんで知ってますけど、愛先輩、高校に入ってから知りましたもん」


「そうなの。 高等部から入ったんだー」


「へえ。 中学はどこだったんですか?」


「ちゅうがく、は…」


そこまで行って、次の言葉が出ない。


…どうしよう。
言わなきゃ…、変に思われる。


別に、中学がどこか言ったって、バレるわけじゃない。


……でも。


「翔! 主井さん、先生に呼ばれてるみたいだからそろそろ行かなきゃ行けないみたいなんだ」


……へ?


「あ、そうなんですか?ごめんなさい、愛先輩。またお喋りしましょうね!」


沢尻くんは手を振って、去って行った。


「…なんで、あんな嘘言ったのよ」


「いや、なんか困ってるみたいだったから」


「別に、困ってなんか無いよ!」


本当は、困った。
…バレたく無い事が、あるから。


「ありが、とう」


私がそう言うと、変態は笑った。


そういえば、さっきの男の子って、前に遥が言ってた子かな?


うろ覚えだから分かんないけど。
私は足にしがみついてる変態を無視して教室に向かった。