幼稚園の頃からって、さすがに冗談でしょう……?
だって、私がお兄ちゃんみたいに慕っていたように、こうくんだって、私のこと妹みたいに可愛がってくれていた。
『ただの幼なじみとしてなんか、1回も見たことない。真由のこと、俺は……女としてしか見てない』
昨日の、こうくんの言葉を思い出した。
……本当にそんなに前から、私のことを好きでいてくれたの……?
「煌貴くんってば、いっつも真由に振り向いてほしくて頑張ってたもんねぇ。あんないい子、他にいないわよ」
お母さんの言葉に、もう何も言えなくなった。
自分に向けられている好意の大きさに、このときようやく気づいたんだ。
「晩ご飯できてるから、早く着替えてきなさい」
「う、うんっ……」
ひと言返事をして、私は足早に自分の部屋へ向かった。
――バタンッ。
「……はぁ……」