「私の好きなもの……全部知ってる」



……なんだ、そういうことか。



「……真由のことはなんでも知ってる。どれだけ一緒にいると思ってんの?」



物心ついたときにはもう、一緒にいるのが当然になっていたのに。

俺は他人のことには興味ないし、他人にどう思われてようがどうでもいいけど……。

真由のことだけは、なんでも知りたいと思っている。



「そうだねっ……」

「ほら、行くぞ。予告も観たいんだろ?」

「うんっ……!」



真由の腕をつかんで、スクリーンへと急ぐ。

ほっそい腕……。

少し力を入れるだけで、折れてしまいそうだ。

真由の体温が伝わってきて、俺が守ってやりたいと強く思った。