「優莉」


名前を呼ばれてドキッとし、寝息に見立てた呼吸のリズムが狂う。かといってここで反応するわけにはいかない。スースーと意識して息を吸って演技を続けた。

キスをしたから、もしかしてその先も。
優莉の頭の中に大胆な妄想が繰り広げられる。

おかげでそれまで以上に心臓が早鐘を打つからたまらない。

もしもそうだったらどうしよう……!

ドキドキとハラハラがない交ぜで、どうにも収拾がつかなかった。

きっと朝まで眠れない。そう思っていた優莉だったが、いつの間にか眠っていたらしく、次に目を開けたときにはすっかり夜が明けていた。