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その日の寮の掃除も、亜沙美はサボっていた。


今回はどんな言い訳をしたのかわからないが、掃除当番を交代した子はもう諦めている様子だった。


そうなると、後はもう亜沙美の思うツボだ。


2年生に上がれば1年生にすべてを押し付けるだろうし、同級生からも文句は出なくなるだろう。


その頃にはカヤ先輩も卒業しているから、邪魔者は誰もいないかもしれない。


「ねぇ、今日のご飯も変な味だったよね?」


亜沙美にそう言われて、あたしは首を傾げた。


「そう?」


「なにも感じなかった?」


「うん。今日は平気だった」


少なくとも、昨日みたいに口から吐き出してしまうほど、妙な味はしなかった。


「亜沙美の舌の方がおかしいんじゃない?」


瞳はここぞとばかりに言い返している。