「私を殴った男はコウにタコ殴りにされてたから、復讐は完了してるよ」
「そう、ならいいわ。鬼夜叉が壊滅したって噂が流れたのは間違いでもなさそうね」
フッと表情を緩めたツッキーだけど、目が笑ってないよ。
「あ〜うん、多分本当。野良猫のみんながブチ切れてたからね」
「そりゃ、そうでしょう。大事な神楽を攫ったのよ。ぶっ潰して当然でしょ」
ダンッとテーブルを拳で叩き付けたツッキー。
周囲の生徒達が何事かと、怯えた視線を向けてきた。
「怖いよ、ツッキー」
「それで、どういう経緯なのよ。詳しく話して」
「繁華街のアイスクリームワゴンの近くで襲撃されたんだよねぇ」
「はぁ?」
更にボルテージの上がったツッキーに、私は昨日のことを事細かに話すのだった。




「やっぱり···あれは一度シメないと駄目ね」
悪い顔で笑みを浮かべたツッキー。
「私も話はしなきゃと思ってる」
「泣かせてやるわよ」
あぁ、彼女は私の親友だね。
同じ事を思うだなんて。
「ツッキーもついてきてくれるの?」
「当たり前じゃない。私が行かなくてどうするのよ」
ツッキーがかなり乗り気だ。
一緒に来て貰えるのなら心強いな。
「ありがと、ツッキー」
「私達の間にお礼なんていらないわよ」
あぁ、ツッキーのツンデレだ。
私の周りってツンデレ率高いかもなぁ。

「でもさぁ、ツッキーが言ってた通りだったね」
ツッキーはあの3年女子に気をつけろって言ってたもんなぁ。
「ああ言う手合は、姑息な手段を取るって相場が決まってるのよ」
「まさか、鬼夜叉に情報を流すなんて思わなかったけどね」
あんな危険な連中に、私への嫌がらせの為だけに近づくだなんて、馬鹿げてる。
「どうせ、あんまり深く考えてないのよ。本当単細胞だわ」
バッサリいくねぇ、ツッキー。
「周防君に連絡して、今日の放課後に連れてきてもらおうかな」
話をするなら早い方がいいし。
あんまりずるずると放っておくと野良猫が動きかねないからね。
同じ高校だから、彼女達の事は自分で形をつけさせてって頼んだんだよね。
「そうね。早い方がいいわ」
ツッキーの返事を聞いて、私はスマホを操作した。
今日の放課後、体育館裏によろしくね、と打って送信完了。
周防君には予め、彼女達を捕獲して欲しいって頼んでるから、決行日を伝えるだけでいい。
やっぱり呼び出しの定番は、体育館の裏だよね。
さぁ、彼女達には洗いざらい吐いてもらおう。