「それに悪い印象を残さずに送り出した方が、俺のところに戻ってきやすいだろ」

「諦めの悪い人ですね」
と苦笑いしたあとで、杵崎は言った。

「俺は――
 好きになる努力をしてみようかなと思っています」
と杵崎はあの巫女ブログで知り合った女性のことを語る。

「そういうの失礼かな、とも思ってたんですが。
 ……それでもいいと言ってくれるので」
とちょっと彼女のことを思い出し俯くと、自分はどんな顔をしていたのか。

 清春はやさしげに、
「うん、そうか」
と言って笑ってくれた。

 ぐはっ、と男でも思ってしまうくらい綺麗な笑みなんだがっ、と杵崎は衝撃を受ける。

 何故、これにぐらつかないっ、一宮っ。

 お前、よっぽど陽太が好きなんだなっ、と杵崎は妙なところで、深月を諦めようと覚悟を決める。