彼がこのカップルを探し出してくれたらしい。

「めんどくさいお願いをしてしまいまして、すみませんでした」

「いえいえ。
 意外に早く見つかってなによりでした。

 あ、それから私、忍者ではないです」
と確かにこの人が忍者だったら、大きいし、イケメン過ぎて目立ちそう、と思いながら、深月は見上げる。

「では、私はこれで。
 あ、おひとつどうぞ」
と高倉は深月にイカ焼きの何本か入った袋をひとつ渡して、消えた。

 いや、途中までは去っていく姿が見えていたのだが。

 人波にまぎれたのか、かき消えたのか、いつの間にか居なくなっていたのだ。

 ぽすたちは少し祭りを見ていくと言って帰っていった。

 浜に残った深月は高倉と彼女らが消えていった道の方を見ながら呟く。

「忍者ではない、と言われると、より、忍者な感じがしてしまうのはなんででしょうね」
と。