「私が杵崎さんを見かけるたびに、なんとなく乗せていきましょうかと言ってたせいでしょうか。

 杵崎さん、二人乗りは禁止だと言っていたので。

 それで断り続けるのもどうかと思って、ちゃんとした二人乗り自転車を買ってきたんですかね?」

 悪いことをしました、と言う深月に、陽太は、

「いや、一輪車だろうが、二輪車だろうが、会社の構内を走るのはどうかと思うが。

 ……なんか楽しそうじゃないか」
と言う。

 いや、楽しく出勤しちゃいけないんですかね……?
と深月は思っていた。