「ブラッドは大丈夫なの?」

「さっき薬を飲んだからね、あとは寝ていれば大丈夫だよ」
 
そう言ってレオンハルトはミリィの頭を優しく撫でる。

「心配かけてごめん」

「ううん! そんな事ないよ。早く元気になって、そしたら四人で一緒に森に木の実取りに行こうね!」
 
ミリィは優しく笑うと俺に小指を差し出す。

「うん、約束だ」
 
この時のミリィは本当に素直で良い子だった。いつからあんな性格に育ったのやら……。
 
それはさて置き、ある日俺は父さんに連れられてある施設へと足を運んだ。

「父さん、ここは?」
 
俺の質問に父さんは優しく笑うと言う。

「ここは雫の研究をしているところだよ。もしかしたら、ここでならブラッドの体を治してくれるかもしれないんだ」

「ほ、本当に!」
 
その言葉を聞いた時は心から嬉しかった。

この体が治れば今までやりたかった事が出来る。

家族みんなで遠くに出掛けられるし、学校にも行けるようになる。

俺はそう信じていたんだ。
 
でもそこは雫の研究をしている施設なんかじゃなかった。

「や、やめ……て」
 
冷たい手術台に寝かされ、俺は奴らの実験材料の一つとなった。毎日の体の検査、魔力の数値の検査、精神の検査、雫の検査など、数えきれない程の検査が行われ、そのせいで俺の心は徐々に傷ついていった。