そう考えながら土煙の中を歩いて行くと、直ぐ足元でさっきの彼と思わしきフードが見えた。

「良かった生きてる」
 
体が吹き飛ぶまで行かなくて良かったと安堵しつつ、回収しようと思い近づいた時、足元で倒れている彼の顔を見て目を見開いた。

「え……」
 
フードから漏れ出ている白銀の髪、真っ白な肌に映える桃色の唇。

そしてさっき大爆発をまともに受けたはずなのに、顔や衣服は敗れるどころか汚れてすらいなかった。

「ねぇ、この子……女の子じゃない?!」

ミリィの言葉に俺は地面に膝を付く。そして頭を抱えて顔を上げて叫んだ。

「お、俺は……女の子に魔法をぶつけてしまったのかぁぁぁぁ!!!」
 
後悔と言う名の波が押し寄せ体が小さく震え始める。
 
何てことをしてしまったんだ! しかも俺好みの女の子に!

「ブラッド早くその子を回収しなくちゃ!」

「ああ! そうだ!」
 
こんな子が通り魔だなんて信じたくないけど、とりあえずレオンハルトに引き渡すのは後だ。

「ブラッドの屋敷に運ぼ! 何処か怪我しているかもしれないし」

「わかった!」
 
俺は気絶している女の子を抱き上げる。

その拍子に彼女の首から、翡翠色に輝く宝石が埋め込まれたネックレスが顔を出した。

「この宝石……」
 
この色合と輝きは……。

「ブラッド、何してるのよ! 警察が来る前に逃げないと!」

「あ、ああ!」
 
考えるのは後だ! 今はこの子を運ぶのが優先だ。
 
俺は足元に落ちている魔剣も拾い上げ、警察が来る前に屋敷に向かって走り出した。