「なに? 文句でもあるの? 奴隷のくせに…」


お母さんが私をにらむ。


……それはお母さんが私を殴る前によく見せる目つきだ。


こうなると、もう何を言っても無駄。


それに昨日のお父さんのパジャマを着た男の発言。……もし私がここに残れば、きっとひどい目に遭うだろう。


「分かったよ…」


私は部屋にかけこみ、スーツケースに荷物をいれ、高速で支度した。


ガチャ! と部屋から出る。


「部屋の鍵はかけたけど、
絶対に私の部屋には誰もいれないでね」


「はいはい。分かったから」


お母さんが自分のお腹をポンと叩く。


……あれ?


気のせいかな?


お母さんのお腹……ちょっと大きくなった気がする。