「これ! 受け取って!」
何も言葉を発さない2人へ、手紙を差し出した。
友達はキョロキョロとまわりを見渡し、目を合わせあってから、やっと受け取ってくれた。
書いたことは、仲良くしてくれたことへの感謝。
そして、わたしのラインのID。
「じゃあ元気でね! ばいばい!」
廊下にいる生徒たちの注目を集める中、笑顔で2人に手を振り、わたしはこの中学を去った。
夏休みになってから、優にぃしか登録されてなかったわたしのラインに、友達が2人追加された。
1人目は、大和くん。
『どーも!大和です^^転校っていきなりすぎてビビったΣ(・ω・ノ)ノ!転校先は何中だっけ(・・?練習試合で行くかもしれないから教えて(((o(*゚▽゚*)o)))あとお前スマホゲー興味ない?(・・?オススメのある(* ̄0 ̄)/後で送るからやってみー☆☆』
――お前は女子か!
と突っ込みたくなるような絵文字の多さ。意外だなぁ。面白いなぁ。
そして、もう2人目は……。
『スマホ買ってもらったよ! 綾ちゃんが友達第一号!』
もう1人はスマホをまだ持っていないらしい。
でも、メッセージとスタンプを送り合った後、友達2人で写った笑顔の写真が届いた。
これで心残りなく、新しい生活をスタートできる。
えーと。
『ありがとう、優にぃのおかげで……』
ダンボールに囲まれた自分の部屋で、優にぃへの報告ラインを作成する。
彼に抱きしめられた感覚を思い出し、1人顔を熱くさせながら。