小学校から知っているのに、最近になって涼太の事を意識し始めてしまったのだ。


中学まではそれほど目立つ生徒でもなかったし、気にしたことなんてなかった。


けれど高校に入学してからの涼太は、正直すごくカッコいい。


「また宿題忘れたの?」


あたしは呆れた声でそう言った。


内心は涼太に話かけられてドキドキしているのだけれど、それを必死で隠すしかできない。


「部活で忙しかったんだよ」


いつもの言い訳だった。


涼太が毎日最後まで残って1人でシュート練習をしていることは、知っていた。


「仕方ないなぁもう」


ブツブツと文句を言いながらノートを取り出す。


すると涼太は満面の笑顔を浮かべ「さんきゅっ!」と、ノートを取って行ってしまった。