ケータイ小説 野いちご

暗黒王子と危ない夜


ひと気のない道を抜けて、一つ目の交差点に出た。

信号は赤。

車のライトが前から横から次々に飛んでくる。



いま何か喋っても、エンジン音やタイヤの摩擦音でかき消されるかなと思い黙っていると、

ふいに三成くんが何かつぶやいた。





__“ 不良 ”

確かにそう聞こえた気がする。



道路をまっすぐ見つめていた三成くんが、ちらりとあたしに視線を落として、また前を向く。


その横顔に、さっきまでの楽しそうな表情はなかった。





「さっき不良って聞いて笑ったのは、七瀬は、そんな言葉でくくれるような簡単なヤツじゃねえと思ったからだ」




彼の耳にはめられたいくつものピアスがライトに当たって、キラキラ輝いて。


その中でもひときわ目立つ真っ赤な色に
思わず寸秒、目を奪われる。




だけと、その明るさとは対称的に


瞳には
深い影が落ちていた──。


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