ケータイ小説 野いちご

暗黒王子と危ない夜



それは、ほんの一瞬。


あたしは思わず目をつむる。



聞こえてきたのは、呻くように吐き出された吐息の音。



恐る恐る目を開けて男の姿を確認しようとすると、すぐに何かで視界を遮断された。


数秒後、あたしの目を覆っているのは本多くんの手のひらだと気づく。




「見なくていいよ」



耳元で声がした。



「目、閉じといて」



ふわりと、かすかに甘い香り。

あたしに寄り添うようにして本多くんがそばにいるのがわかる。




「部活動生が流れてくる可能性あるから、一旦ここ離れようか」




そう言って彼は、変わらず冷たい手で
そっとあたしの腕を引いた。


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