あの顔でメークすれば、もっともっと可愛くなれるに決まっている。


リップは、せっかくだし自分でも使ってみたのだ。


「可愛い、よく似合ってる」


梓にそう言われても、あまり嬉しく感じられない。


きっとあたしの心が卑屈になっているからだろう。


「ありがとう。ちょっとトイレに行ってくるね」


あたしはそう言い、梓から逃げるようにトイレへと向かったのだった。