「どうなってんだよ」


沈黙を破ってそう言ったのは丸山和(マルヤマ カズ)だった。


和はクラス委員長でいつもみんなをまとめてくれていた。


「窓もドアもどこも開かなかった。鍵は開いてたのに」


女子生徒が言う。


「校舎内に残ってるのは俺たちだけみたいだ。他の人は誰もいなかった」


男子生徒が言う。


それぞれに状況を整理しようとしているのがわかった。


「校舎内に俺たちだけってことは、隔離されたってことか」


和が小さな声でそう言った。


その瞬間、大田サツキが悲鳴を上げた。


一番小柄で線の細い子だ。


その場にしゃがみ込んで震えている。


友人の山中彩(ヤマナカ アヤ)がサツキの背中をさすっている。