白けた雰囲気が教室内を包み込んだ。


「でも、今日は大丈夫なようだな」


先生が窓の外を見てそう呟いた。


なにが大丈夫なんだろう?


悪いものはやってきそうにないってことだろうか?


そう思って窓へ視線をうつしてみた、その時だった。


不意に先生が窓へと近づいた。


まだ雨が強くふっているというのに、躊躇なく窓を開けた。


強い風が教室内に入ってきて、窓の近くの生徒が文句を言った。


しかし先生はそんな言葉が聞こえていないかのように、窓の向こうへと身を乗り出したのだ。


それは一瞬の出来事だった。


瞬きをした次の瞬間には先生の体は消えていた。


みんな何が起こったのか理解できなくて唖然としている。


最初に悲鳴を上げたのは、窓を開けたことに文句を言っていた女子生徒だった。


その悲鳴が引き金になって、みんなが窓へと駆け寄った。