「優衣~! 今日の放課後遊びに行かない?」


里子がそう声をかけて来たのであたしは目を丸くした。


「大雨だよ?」


「だから面白いんでしょ?」


里子はショートカットを揺らしてそう言った。


こんな雨の日はどこのお店も早終いにしてしまう。


けれど、桐谷高校と同じくらいの高さに立てられている展望台へ行くと、雨が上がった時の虹が見られたりするのだ。


そこから見る天使のはしごは言葉にならないくらいに綺麗だった。


それを思い出すと返事に詰まってしまった。


この雨が放課後までに止む保証なんてどこにもない。


だけど、雨上がりの空は見たかった。


「……じゃあ、放課後に小降りになってたらね」


結局あたしはそんな曖昧な返事をしたのだった。